コンテンツクリエイター専攻 

think globallyが出来ない日本人クリエイター

コーライティングの波がアジアにもやってきている様子がわかるレポートです。台北で二度目のキャンプに参加したプロ作曲家養成講座〜山口ゼミ〜 副塾長の伊藤涼さんから寄稿があったので、紹介します。

台北でのコーライティングキャンプやってきました。世界最大のインディペンデント音楽出版社の台北支部Peermusic Taipeiと台湾の新鋭FULL MUSICの共同開催で、しっかりと準備されてホスピタリティも素晴らしい、クリエイターもスタッフサイドにもやる気と勢いを感じたキャンプでした。クリエイターはアメリカから1人、スウェーデンから1人、韓国から3人、台湾から17人、日本からRyo ItoとTomoLowの2人で計24人、宿泊したホテルの部屋をスタジオにセッションしました。

印象的だったのはFULL MUSICのスタッフは、平均年齢が20代後半で、とてもインディペンデントな考えを持っていて、この人たちが台湾や中国の音楽業界を切り開いていくんだろうなと思った。台湾のクリエイターもみんな若く、20代前半の女性プロデューサーのスキルの高さや、帰国子女のシンガーたちの英語力とコミニケーション能力の高さに驚かされた。韓国・アメリカ・スウェーデンのクリエイターたちは、台湾のクリエイターたちほど若手ではないが、作曲・コーライティングのスキルはもちろんグローバル意識が圧倒的に高い。彼らがこの台湾のキャンプに参加していること自体、先見の目を持っていることが感じられた。

彼らとの出会いで深く考えさせられたのは、いまどき日本人クリエイターが海外市場への憧れを持つのは珍しくはない。だけど、本当の意味で「think globally」ができているだろうか?誰かがやってくれると思っていないだろうか?その先にある「act globally(thinkを行動に移すという意)」に至っては、ほとんどできていないだろう。いままでは極東の島国という言い訳をしていたが、台湾クリエイターにできて、日本人にできないのであれば、何か問題があるとしか言いようがない。日本の大きな音楽市場や、それを作ってきた音楽業界とその仕組みに甘えているのではないだろうか?

韓国人クリエイターが言っていたことが印象的だった。世界中でもの凄い存在感を持つようになったK-POP、しかしその制作現場に韓国人クリエイターが必要とされなくなったと。たしかにUSやヨーロッパのクリエイタークレジットが目立つようになったK-POPの楽曲制作に、韓国人クリエイターは生き残りをかけて自国以外のマーケットを模索しているのだ。日本人クリエイターはどこまでそれを自覚しているだろうか?まだまだ日本人クリエイターしか使わないという風潮はあるが、出版の仕組みやタイアップの考え方がグローバル化したときに、海外のクリエイターは今まで以上の勢いで日本マーケットに入ってくることを知っているだろうか?その時に突然「act globally」をすることなんてできないと思う。もう言い訳のできなくなった日本人クリエイター、いま直ぐに「think globally」を始めたらどうだろうか。 [伊藤涼]