2008年10月28日

教育機関×企業が徹底討論!「クロスメディア時代のプロデューサー育成に向けて」10月20日報告レポート

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2008年10月20日(月)、東京・渋谷区にある青山こどもの城にて、東京コンテンツプロデューサーズ・ラボ主催、コンテンツ学会協力のシンポジウム「クロスメディア時代のコンテンツプロデューサー育成に向けて」が開催されました。
本シンポジウムは、JAPAN国際コンテンツフェスティバル(CoFesta2008)の一環として開催され、大学・TCPLのプロデューサー教育機関が考える「プロデュース教育」と、エンタメコンテンツ業界を牽引する企業考える「現在求められるプロデューサー像」について討議が行なわれました。

専修大学、慶應義塾大学、
東京コンテンツプロデューサーズ・ラボが行なうプロデューサー教育

専修大学情報学部 教授・福富忠和氏、慶應義塾大学DMC機構 准教授・金正勲氏、東京コンテンツプロデューサーズ・ラボ ゼネラルマネージャーの小野打氏の3名が登壇し、それぞれの教育機関で行なわれている教育プログラムを発表。
コンテンツに関るインフラ、デザイン、ビジネスすべてをとおして学べる専修大学情報学部。社会経済を理解しデザイン・技術・産業・政策という4つの観点からコンテンツを学ぶことができる慶應義塾大学DMC機構・大学院メディアデザイン科。社会人対象のスクールとして、コンテンツビジネス・ファイナンス・ITプロモーション・法務・ライツなど、実際のビジネスに即役立つ知識が得られる東京コンテンツプロデューサーズ・ラボ。それぞれの教育機関が行なう、コンテンツプロデューサー育成カリキュラムの特長が紹介されました。

教育機関×エンタメコンテンツ企業、
「求められる力」と「大学・スクールが育成する人材」

次には、教育機関として参加された3名に加え、東京コンテンツプロデューサーズ・ラボ、慶應義塾大学大学院、九州大学大学院の講師であり、株式会社シンクの代表取締役としてアニメ作品のプロデュースを行なう森祐治氏がコーディネーターとして登壇。さらに、コロムビアミュージックエンタテインメント株式会社常務執行役・竹中禎一氏、株式会社吉本興業執行役員総合企画室 室長・中井秀範氏、有限責任中間法人日本オンラインゲーム協会 事務局長・川口洋司氏の3名を加え、教育機関とエンタメコンテンツ企業による”求められるプロデューサー像”についてのシンポジウムが行なわれました。

まず始めに、それぞれの業界の視点から求められるプロデューサーについて解説。
これまで人脈や金脈が重要視されるのが”プロデューサー”という職種であったが、クロスメディア時代を迎えている現在、クリエイティブなセンスをもっていながら、多くのビジネスチャンスを掴むことができる、もにづくりと経営的側面を担えるスキルが求められる職種が”プロデューサー”であるということが各業界共通の傾向として見受けられました。

また、福富氏は、クロスメディア時代のプロデューサーを育成するためには現場経験のみだと長期間かかってしまう点、コンテンツプロデュースというビジネスを体系化し研究していくことも業界の振興につながっていく点を挙げ、業界全体にとっての教育機関の意義を解説。金氏は、現在のコンテンツ業界に合わせた教育ではなく、これから新たな産業を牽引していく人材の育成を教育機関では行なっていく必要があるのではないかとアピール。小野打氏は、半年間という短い期間の中ですぐにコンテンツ業界に参入できるための業界知識、ビジネススキルを身に付け、すぐに役立つ人材を育成し、新規ビジネスを立ち上げる、新たなプロジェクトを手がけるなど、ビジネスが活性化するのではないかとお話されました。

これに対し、エンタメコンテンツ企業側としてご参加された方々は、
中井氏:「業界に入りたいのであれば、やはり業界の特長を知り、覚悟を決めてきてほしい。また、プロデューサーを目指すなら求められるのは人間力だと思います」
川口氏:「コンテンツは生物のように変わっていくもの。常にユーザーのニーズをとらえ、企画提案を常に考えていけるようなスキル、クリエイティブとビジネスの感覚両方をバランスよく持ち合わせている人材が求められている」
竹中氏:「エンタメビジネスは、理不尽なものと付き合っていかなければ成功は得られない業界。理想論だけでなく、理不尽な業界と付き合いながらヒットをつくれる力が必要だろう」
といったコメントをされました。

コンテンツビジネスの人材育成に関し、教育機関とエンタメコンテンツ企業が話し合うこととなった今回のシンポジウム。さまざまな意見が交わされ、業界のビジネス構造はクロスメディア時代をむかえ、必要とされる人材も変化してきていることがわかりました。ご来場いただいたみなさまありがとうございました。

即戦力となるプロデューサー育成を目指す本ラボでは、2009年4月から、カリキュラムを一新します。業界ニーズに応えるため、TCPLサポーター企業が参加する「カリキュラム開発委員会」を設立。
今後、定期的にこのカリキュラム開発委員会が主催する公開講座では、各コンテンツ業界の方々をゲストにお招きし、公開講座を実施します。今回のシンポジウムより詳しく各業界の最新動向と求められるプロデュース力をみなさんに語っていただきます。

次回、公開講座のテーマはゲーム。詳細はこちらから